皆さん、こんにちは。かなえ(@kousakikanae)です。
先日、ファッションブランドのクリスチャン・ディオールが、2021年春夏のオートクチュール・コレクションをオンライン限定で発表いたしましたね。
昨年の秋冬オートクチュール・コレクションに引き続き映像形式となっており、その内容が、まるでタロットカードの世界を実写化したようだと話題になっています。
創設者のクリスチャン・ディオール自身も、占星術や運命の兆しを大切にしていたそうなのですが、一体どのような世界が描かれたのでしょうか。
昨年に引き続き、今回もマッテオ・ガローネ監督が製作を担当したそうです。
映像を再生すると「LE CHATEAU DU TAROT」という題が出てきますが、日本語に翻訳すると「タロットの城」となります。
なぜタロットがモチーフなのかというと、ディオール初の女性デザイナーであるマリア・グラツィア・キウリが、ある小説に感銘を受けてそこからインスピレーションを得たからなのだそう。
それが、タロットカードをモチーフにして書かれた、イタロ・カルヴィーノの小説『The Castle of Crossed Destinies (宿命の交わる城)』となります。
文学の魔術師、カルヴィーノが語る、タロットの札に秘められた宿命とは…?王、女王、騎士、兵士など、城にやってきた様々な人間たちの物語が、タロットの札を並べるがごとく紡ぎ出されていく。世界最古のタロットカードの中に、様々な人間の宿命を追求しつつ、古今東西の物語文学の原点を解読するカルヴィーノ文学の頂点。
Amazon 商品説明 内容(「BOOK」データベースより)
映像は、一人の女性がタロット占い師の対面鑑定を受けている場面から始まります。
占い師が相談内容を尋ねると、女性は「私は誰?」と答えます。
占い師に促され女性が一枚カードを選ぶと、そこに描かれていたのは「女教皇」でした。
「女教皇」のカードは直観力や精神性の高さを意味しており、普段は意識することのできない無意識の領域を暗示しております。
この女性がこれから自身の心の奥深くに旅をしていく……そんな始まりを予感させました。
タロットの城で女性は、女教皇の他に、正義、愚者、吊るされた男、節制、悪魔、星、月、死神と出会うこととなります。
城には、女性の他に男性も滞在しているのですが、この男性は女性と瓜二つの容貌の持ち主です。(一人二役なのですが、まるで本当の男女の双子のようでした)
最後にこの物語は、この男性と女性が融合して一人になるという神秘的なシーンで幕を閉じます。
この女性は、自分の中にある女性性と男性性を見出し、一つに合わさることで本当の自分を見つけ出したのかもしれないと思いました。
女性と男性が融合した場所が、お湯が張られている浴槽だったからです。
火は男性、水は女性を象徴していると言われているのですが、まさに水に火でできるものが「湯」ですので、そういうことなのかな~と思ったのです。
また、女性は男性と対面する直前に「死神」と会うのですが、これは今までの古い自分の「死」と新しい自分への「再生」も意味していたのかもしれませんね。
融合した後、髪型は男性のショートヘアのままだったのですが、黒髪からほんのり女性の髪色であったチェリーブロンドになるのが素敵でした。
振り返って微笑む姿も、本当にきれいで……思わず拍手をしてしまいました。
他にも見どころが凝縮されていて、思わず見返したくなっちゃいます。
劇中に出てきた占い師が使用していたのは、ニューヨークにある美術館「モルガン・ライブラリー」から提供されたヴィスコンティ・スフォルツァ版のタロットカードだそうです。
ヴィスコンティ・スフォルツァ版のタロットカードは、15世紀中頃に制作されたといわれており、現存する最古のタロットとして知られております。
このカードがフランスへ渡り、それをお手本にしてマルセイユ版ができたともいわれているそうです。
そんなヴィスコンティ・スフォルツァ版タロットですが、残念ながら完全なデッキは残されていないとのこと。
現存しているカードデッキにはタロットでは有名な、悪魔、塔のカードが欠落しており、これが最初から無かったのか、それとも歴史の中で散逸してしまったのかをめぐり、現在も研究家の間では意見が分かれているそうですよ。
現在のタロットカードの仕様に合わせ、当時のヴィスコンティ・スフォルツァ版を再現したデッキが販売されておりますので、ご興味のある方は、ぜひお手に取ってみてください。
ここまでお読みくださり、誠にありがとうございます。
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