皆さん、こんにちは。かなえです。
この記事では、誰もが一度は耳にしたことがある、日本人にとってはなじみ深い「般若心経(はんにゃしんぎょう)」について、ご紹介していこうと思います。
なにとぞよろしくお願いいたします。
般若心経(はんにゃしんぎょう)とは何か?
般若心経とは、仏教においての経典の一つとなり、正式名称を「般若波羅蜜多心経(はんにゃはらみったしんぎょう)」と言います。
般若とは「知恵」のことです。
この言葉はサンスクリット語で「知恵」を意味する「プラジュニャー」という言葉の漢訳となります。
サンスクリット語から、中国語に翻訳するとき、発音にそのまま漢字があてはめられたものとなるそうです。
「波羅蜜多」というのも、サンスクリット語の「パーラミター」にそのまま漢字をあてたものだそうでして、「パーラミター」の意味は「完成」、このことから「般若波羅蜜多」とは「知恵の完成」という意味となります。
また、「般若心経」の「心」とは中心や核心という言葉の「心」となります。
つまり、「般若波羅蜜多心経」とは、「知恵の完成の核心を説いた経典」という意味になるそうですよ。
般若心経を作ったのは西遊記の三蔵法師?
皆さんもよく知っている、孫悟空が活躍する「西遊記」。この物語に登場する三蔵法師ですが、実在したお坊さんがモデルとなっています。
出典:Wikipedia
その方こそ、玄奘(げんじょう)三蔵法師です。
実は、三蔵法師とはお名前ではなく、仏教においての尊称になるそうですよ。
俗名は陳褘(ちんい)といったそうで戒名を玄奘としたため、玄奘三蔵法師というお名前で通っていたそうです。
629年に中国の都である長安を発ち、約3年の旅路を経てインドに到達した後、そこで仏教を学び、16年後の645年に非常に多くのお経や仏像を中国に持ち帰ったそうです。(この時の旅路が「西遊記」のモデルとなるのです。)
玄奘さまは経典の翻訳に従事する僧侶だったのですが、インドから中国に帰った後、約20年の間に76部1347巻という、途方もない数のお経を漢訳したといわれています。
その余りにも膨大な量の経典を前にして、玄奘さまは「これでは多くの人が教えを理解する前に頓挫してしまうだろう」と考えたようです。
そのため、経典の中から重大な部分を抽出し、エッセンスとしてぎゅっと短くまとめました。
それが「般若心経」となります。
実は般若心経は二つあった……⁉
あまり知られていないのですが、般若心経は二種類あるそうです。
一つは先ほどの玄奘さまが作られたもの、そしてもう一つは鳩摩羅什(くまらじゅう)というお坊さんが作られたものです。
出典:Wikipedia
鳩摩羅什さまは、最初の三蔵法師といわれており、玄奘さまと同じく経典の翻訳に従事する僧侶でした。
鳩摩羅什さまも、膨大な経典をぎゅっと圧縮し、般若心経を作られたそうですよ。
しかし、両者の作り上げた般若心経は共通点も多かったせいか、今日では玄奘さま訳の般若心経が一般的なようです。
修験道のお勤めでも、玄奘さまの般若心経が使われておりますよ。
般若心経 全文、何文字あるの?
般若心経の文字数ですが、観自在菩薩からカウントされる本文は、266文字となります。
「摩訶般若波羅蜜多心経」を加えると276文字になります。
「仏説」も含めるのであれば、278文字ですね。
なお「仏説」ですが、これは「お釈迦様が直接言いました」という意味です。宗派によっては、この「仏説」という部分は唱えないこともあるようです。ご参考までに。
また、今回は振り仮名も振っておりますが、こちらについては、一般的なものを採用いたしました。宗派やお寺により、実際の発音が異なる場合がございますので、その点は予めご了承くださいませ。
それでは、以下に般若心経の全文をお載せいたします。
—–
仏説 摩訶般若波羅蜜多心経
観自在菩薩
行深般若波羅蜜多時
照見五蘊皆空
度一切苦厄
舎利子
色不異空
空不異色
色即是空
空即是色
受想行識
亦復如是
舎利子
是諸法空相
不生不滅
不垢不浄
不増不減
是故空中無色
無受想行識
無眼耳鼻舌身意
無色声香味触法
無眼界乃至
無意識界
無無明
亦無無明尽
乃至無老死
亦無老死尽
無苦集滅道
無智亦無得
以無所得故
菩提薩埵依般若波羅蜜多故
心無罜礙
無罜礙故
無有恐怖
遠離一切顛倒夢想
究竟涅槃
三世諸仏
依般若波羅蜜多故
得阿耨多羅三藐三菩提
故知般若波羅蜜多
是大神呪
是大明呪
是無上呪
是無等等呪
能除一切苦
真実不虚
故説般若波羅蜜多呪
即説呪曰
羯諦羯諦
波羅羯諦
波羅僧羯諦
菩提薩婆訶
般若心経
般若心経は暗記するもの?
最初は慣れていないこともあって、お唱えするのも一苦労だと思いますが、何度もお唱えしていくうちに自然と覚えていくかと思います。
ですが、お経は暗記していたとしても、経典を広げ、それを見ながらお唱えするのが正式な作法とされているようです。
そのため、絶対に暗記しなくてはと気負わなくても良いものかと存じます。
ただ、もし修験道を志すという場合であれば、個人的には暗記されることをおすすめいたします。
なぜかというと、修験は山に入って行を行なうものですから、必然的に日没時間との勝負になります。
そのため、早足でお勤めすることもよくあります。場所によっては経典を広げてゆっくりという訳にはいかない時もままあったりします。
個人的には、なるべく早めに覚えることをおすすめいたします。
般若心経 意訳
それでは以下に、般若心経の現代訳をお載せいたします。
専門用語を使わずに、なるべく伝わりやすいように優しい言葉を選びました。
もちろん、これが正解ではなく全てではありませんが、少しでも皆様の参考になれば幸いです。
——
― これは、深淵なる知恵の完成によって、心のこだわりから解放され、幸せを頂くための核心となる教えです。
お釈迦様(仏陀)は、大勢の弟子や菩薩様と共に王舎城の霊鷲山にいらっしゃった時に、深い悟りの瞑想に入られました。
その時、観自在菩薩である観音様は、深淵なる知恵の完成の修行をされ、この世にあるすべてのものは「空」であると察したのです。
それにより、命題であるあらゆる「苦」からの脱出を成しえたのでした。
それを見ていたお釈迦様の弟子であり、長老のシャーリプトラ(舎利子)は観音様にお尋ねになりました。
「観音様、深淵なる知恵の完成の修行をするならば、どのようにして学べばよろしいのでしょうか。」
それを聞いた観音様は、穏やかに話し始めました。
“シャーリプトラよ、よくお聞きなさい。
あなたの目の前にある現世とは、実はあなた自身のうつろいやすい心が感じ、作り出しているものなのです。
あなたの身体を含むすべての物質は、あなたが思っているほど絶対的なものではないのですよ。
物質は心を形に表しているものですから、物質と心は別のものではありません。
物質もまた心といえるのです、そのため、あなたの身体や物質は絶対的なものではないのですよ。
物質も心と同じように、刻々とうつろうものなのです。
私たちは、自らの五感によって、常に心で何かを感じながら生きています。
それにより生じた自らの想いに囚われ、世界はこうであると作り上げます。
そして更にまたそれによって何かを感じるので、私たちはせわしなく動き続けるのです。
しかしながら、心はうつろうものですから、そういった動きもまた絶対的なものではないのです。
シャーリプトラよ、良いですか。
そうすると、永遠不変のものなどこの現世には何一つなく、私たちの心ひとつで絶えず移り変わる実体のない儚いものなのです。
実体がないのですから、生まれ滅び消えていくように見えても、実はそのような現象は存在していないのです。
人々が言うような汚いということも清らかということも、また、増えるということも減るということもないのです。
肉体もなく、五感もないのですから、それによって作り上げられた世界はありません、心すら本当はないのです。
心がないということは、愚かさや苦しみもないので、人々が恐れている老いや病、死もありません。
そのため、お釈迦様がお教え下さった、苦がありそれを滅ぼす方法があるということも、本当はどこにもないのです。
悟りを得るための知恵もありませんので、悟ることもないのです。
最初からないのですから、得るべきこともないのですよ。
これは般若の知恵を理解することにより至ることができるものです。
遠い過去から現在、未来に至るまでいらっしゃる諸仏は、みな般若の知恵によって、その境地に至ることができたのです。
般若波羅蜜多は、大いなる真言です。
般若の知恵は、すべての苦を取り除いてくださいます。
これは真実であり、そこに虚偽はありません。”
観音様は、般若の知恵の真言を次のように唱えました。
“行こう、
行こう、
さあ行こう。
皆と共に彼岸を渡ろう
悟りの成就に幸あれ。
シャーリプトラよ、深淵なる知恵の完成の修行は、このようにして学ぶのです。”
この時、お釈迦様は深い瞑想を終えられて「その通りです」とお喜びになり、観音様をお褒めになりました。
その場にいた大勢の弟子や菩薩は、お釈迦様の言葉を聞き、とても喜びました。
― 以上、深淵なる知恵の完成によって、心のこだわりから解放され、幸せをいただくための中心となる教えを終わります。
般若心経、まとめ
膨大な量の経典の重要な部分を抽出し、そのエッセンスをぎゅっとまとめあげた般若心経。
わずか266文字という非常に短い文に、これだけの意味が込められているなんて、ただただ圧倒されます。
これを作り上げた、玄奘さま、そして鳩摩羅什さまは、本当に偉大なお坊さんだったと思います。
この記事を書いている私は、まだまだ道半ばの未熟者です。
観音様が仰られた境地があるものと信じ、ただ一日一日を励むのみです。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
ここまでお読みくださり、誠にありがとうございます。
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