こんにちは、かなえ(@kousakikanae)です。
この記事では、山伏が使用する数珠について解説しています。
う〜ん……。
お経をお唱えする時、やっぱり数珠があればな〜って思います。
他の方々が使っているような、長い数珠が欲しいのですが……。
お念珠をご用意されるのですか?
良いと思いますよ。
ちょっと調べてみたんですが、どれにしようか迷っているんですよ!
水晶やアメジストとか、なんか、いろんな石があるみたいなんですよね。
せんだつくんはどの石が良いと思いますか?
水晶は魔除けになりますし、水晶が無難なんでしょうか?
なるほど…確かに、石で出来たお念珠は人気があるようですね。
でも、かなえさんのように山伏を志すというなら、ちょっと立ち止まってみましょう。
お店やインターネットで調べると、たくさんの数珠(念珠)があって迷いますよね。
実は、修験道で用いられる数珠は「いらたか(再多角)念珠」と言います。
この念珠は、ソロバン玉のような形をしている珠を使用しているのが特徴的で行者用となります。
もし以下の画像のような念珠を使用している人がいたら、大体「あ、山伏だ!」と思って差し支えありません。
一見すると、真言宗で用いられる数珠のようですが、弟子珠の取り付け方に違いがあります。
真言宗では一般的に弟子珠は表房側に10個、裏房側にも10個、両方に取り付けられているのに対して、いらたか念珠では表房側にすべて取り付けられています。
取り付け方が異なるだけで、使用されている珠の名称や象徴しているものは同じとなります。
以下の表に、それぞれの珠の名称や意味をまとめます。
名称 | 象徴しているもの |
親珠 | 「阿弥陀仏如来」あるいは「釈迦如来」をあらわす数珠の中心となる玉です。 |
主珠 | 主珠は108個あり、「百八尊」や、「人間の百八の煩悩」を表しています。 |
四天珠 | 「四天王(持国天、増長天、広目天、多聞天)」や「四菩薩(弥勒菩薩、世音菩薩、普賢菩薩、文殊菩薩)」を表しています。 |
浄明珠 | 「菩薩」を表しています。 |
弟子珠 | 「釈迦の十大弟子」や、「十菩薩」を表しています。 |
露珠 | 弟子珠の下に着く露型の珠です。弟子玉を留める役割を持っています。 |
いらたか念珠に使用されているそろばん珠は、不動明王の三鈷剣(さんこけん)を表しているとも言われています。
行に励んでいても、迷いや不安は尽きません。
そういった魔や煩悩から、我々を守ってくださっているのですよ。
あれ?この画像の念珠は石じゃないんですね?
……ひょっとして木ですか?
その通りです。
山伏なら「木製素材」で出来た念珠をおすすめしますよ。
え~!木なんですか!?水晶とかの方がかっこいいですよ!
悪霊退散〜!!みたいな感じがして、強そうじゃないですか。
決まりがある訳ではありませんから、どうしてもというなら止めませんよ。
ですが、軽くて持ち歩きやすいものの方が、その分身体に負担をかけません。
特に、山行は体力勝負ですから。
え〜…でも〜
それに、外気温によっては、石は大変冷たくなります。
水行となれば、氷の塊を身に付けて挑むようなものですよ。
ふふふ、かなえさんは、我慢強い方なのですね。
山伏たるもの、木が基本ですよね。
おや
上記の会話のように、私も当初は「石の念珠を買うのかな?」なんて思っていました。
悪霊退散みたいで強そうのくだりは、フィクションですよ……!
そもそも、修験者がどのような数珠を使うのかも分かりませんでした。
そこで、どういうものが良いのか師に相談したところ、木製素材の念珠を勧められました。
もちろん、石がいけないという訳ではありません。
そのため、石を使った念珠を買い求めた人もいるそうなのですが、やはり重たかったそうです。
行を重ねていくうちに、持つのが煩わしくなってしまい、結局木の念珠を買い直したそうですよ。
余談ではありますが、総水晶の念珠は特別なものとして、儀式的な行事に使うことが多いですね。
木製素材の珠は、使えば使うほどに玉の表面に艶が出てきてます。
経年変化による色合いも綺麗な飴色になったりと、段々と趣のあるものに変わっていくのが良いところ。
「いろいろお念珠を手にしたけど、やっぱり木製素材のものが一番良い」と、最後に木のお念珠へ行き着く方もたくさんいらっしゃるそうですよ。
ですが、一口に木製素材の念珠と言いましても、その材質は様々です。
以下に代表的なものをまとめました。
木の実 | 星月菩提樹、龍眼菩提樹、鳳眼菩提樹などの、菩提樹の実。 |
香木 | 沈香、伽羅、白檀など。 |
木製品 | 桜、桃、梅、紫檀、黒檀、鉄刀木、パープルハートなど。 |
特に、木製素材の中でも、菩提樹が有名です。
これは、お釈迦様が菩提樹の木の下で悟りを開かれたことから、経典にも「無量の福、最勝の益」を得ると記されていることが理由となります。
そのため、菩提樹の数珠は最上とされています。
そういうことも関係しているのか、菩提樹のお念珠は結構なお値段になります。
あわわわ……お金、足りるかな?
水行をすることを考えますと、菩提樹のお念珠はおすすめできません。
山伏が初めて手にするなら、梅の木を使ったお念珠がお手頃ですよ。
一度は手にしてみたい、菩提樹のお念珠!
ですが、菩提樹のお念珠は木の実となります。
そのため、実はカビが発生しやすいのです。
山伏は水行を行なうこともありますので、菩提樹のお念珠はおすすめできません。
師のすすめにより私が持っているお念珠も、梅の木でできたものとなります。(画像のいらたか念珠は私物です)
今ではすっかり、欠くことのできない、大切なものとなっております。
いらたか念珠の長さは尺二(約36センチ)となります。
まず、表房の方(浄明珠がある方)の親珠を左手中指にかけます。房は手前に垂らしましょう。
そうしましたら、念珠の輪を一回捻ります。
捻りましたら、反対側の裏房の方の親珠を左手人差し指にかけます。
房は、右手と同様に手前に垂らしましょう。
※両房は、手の甲ではなく手のひら側に垂らしてください。
そうしましたら、そのまま両手を合わせて合掌をします。
なお、修験道の一つのベースとなっている密教では、念珠を擦り鳴らして音を立てる特徴があります。
念珠を擦ることは、魔を払ったり、百八の煩悩を擂り砕く意味があります。
両手を合わせましたら、ぜひ3回擦ってみてくださいね。
師に教えていただいたのですが、いらたか念珠を購入する場合は、せいざんしゃ.comさんをおすすめいたします。
メニューの【寺院用品】>【全商品】か、サイト内検索バーに「最多角念珠/尺二〈イラタカ念珠〉」と打ち込めば見つかりますよ。
他通販サイトでは約1万円程の相場なのですが……。
せいざんしゃ.comさんですと、なんと、6,160円(税込)です……!!!※令和2年3月22日現在、送料別、材質は正梅、糸は正絹となります。
受注生産となりますが、なによりも良心的なお値段が嬉しいですね。
ぜひこの機会に、いらたか念珠をお手に取ってみてはいかがでしょうか。
いらたか念珠=山伏、ではあるのですが、山伏はいらたか念珠以外に使用してはいけないというルールはありません。
ご自身の宗派のお念珠が良いという場合は、そちらを修験で用いても大丈夫です。
※もし新たにお作りされる場合は、木製素材を選ばれることをおすすめいたします。
ここまでお読みくださり、誠にありがとうございます。
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