「縁切り榎」とは、東京都板橋区にある小さな神社のことです。
昔から縁切りや縁結びのご利益があるとされ、今でも多くの参拝者が訪れ絵馬が奉納されています。
私は、東京ウォーカーで連載されていた清野とおるさんの「東京怪奇酒」というマンガで知り、いつか行きたいなと思っていました。
縁切り榎は、石神井川を渡る板橋の北に続く、仲町商店街の一画にあります。
江戸時代、この辺りには旗本で鉄砲頭・近藤貞用(こんどうさだもち)の屋敷がありました。
その屋敷には、榎(えのき)と槻(つき)が並んで生えていました。
その榎(えのき)と槻(つき)は、中山道から垣根越しに見えるほど大きく、人々の目を引いたそうです。
榎は「えんの木」とも呼ばれる縁起の良い木ですが、そんな榎の横に槻が生えていたため、いつしか「縁が尽きる」と言われるようになります。
転じて「縁切り」に結びつくのですが、江戸の庶民の間では、悪縁を切り良縁は結んでくれるという理由で、信仰の対象となっていきました。
縁切り榎の有名なエピソードとしては、皇女和宮が降嫁の際「縁起が悪い」と、この場所を迂回したというものがあります。
しかしこれは、皇女和宮に限ったことではなく、徳川家治に嫁いだ五十宮倫子も迂回したという記録があります。
江戸の庶民は、男女の悪縁を切るだけでなく、断酒なども祈願されたそうですよ。
私事ではありますが、お陰様で私も今年で40歳を迎えることになります。
この世に生まれてから早くも40年、成人してから20年の時間を過ごしてまいりました。
振り返ってみると、長かったような短かったような、なんとも不思議な感じです。
後、20年も過ごせば、還暦を迎えることになる事実。感慨深いです。
そこまで考えて、私は残りの人生で何を成し遂げて、何を残せるのだろうかと、なんとなく思ってしまったんですよね。
芋づる式に思いを馳せれば、私はまだ何にもしていないなぁって感じてしまったんです。
という訳で、40歳になるにあたり、今まで見て見ぬ振りをしてきた悪習慣や、自分の中の怠け心とすぱっと縁を切りたいなと。
そんな理由で行ってきました。
まずお断りしておきたいことがあります。
私は修験者ですが、世間一般でよくいわれる霊感といったものは持っておりません。
幽霊らしい幽霊を見たことはありませんし、見たことがない以上、霊魂の存在などについては実は半信半疑です。
それでも半分は信じているわけですが、それはこの世には人知を超えた何かはあるんだろうなぁと肌身で感じているからです。
それでも、今からお話しすることには、特に深い意味はありません。
偶然にも、そんなことあるんだね〜と、軽く聞き流していただきますと幸いです。
それは最寄り駅に行くために、踏切を渡った時のこと。
その踏切は道幅が狭くて、大人二人が通れるくらいの広さです。
だから、踏切を渡っている時に自転車が突っ込んでくると、結構ヒヤッとなります。
私の前方から、自転車に乗ったご年配の方がフラフラと走ってきました。
ハンドルも切らずに、あろうことか真っ直ぐに私の方へ向かってきたのです。
私はちょうど渡りきったところで、すぐ横には柵があり、避けようにも難しい状況。
柵にべったり身体を貼り付けることによって、自転車をなんとかスレスレで避けることができました。
んんん?いつもはこんなことないのに……?
電車に乗り込んだ後は、特に問題は起こらずに、縁切り榎の近くの駅にたどり着きました。
しかし、改札口を出ると、今まで経験したことのない気持ち悪さに襲われてしまったのです。
さっきまで元気だったのに、呼吸が浅くなり吐き気が起こります。
ええええええええ!?なにごと……!?
特に気温も高くないし、天気が悪いということもありません。
このままでは目眩も起こしそう……。
吐き気を抑えて、冷たい飲み物でも飲もうと、近くのコンビニでお茶を購入しました。
お茶を飲むと、気持ち悪さが少し落ち着きました。
落ち着いたところで、スマホを取り出し、縁切り榎までの経路を確認します。
Google Map を起動したのですが……。
あれ?
現在地と周辺マップは表示されるのですが、メニューと検索バーが出ていないのです。
検索バーがないから、縁切り榎を検索できない。
Google Map を終了し、バックグラウンドからも削除して、再起動させます。
しかし、やっぱりメニューと検索バーが出ないんです。
…………。
スマホの調子悪いのかなぁ?
アプリ終了 → バックグラウンド削除 → 再起動を5〜6回ほど繰り返すと、ようやくメニューと検索バーが表示されました。
経路も特に問題なく表示されたので、歩き出します。
しかし歩き出した途端、気持ち悪さが再び襲ってきました。
うわぁ〜なんだろうこれ……。
前に出す足も、重たく感じます。
ん〜……マンガで読んだ内容が印象に残っていて、脳が勝手に再現しているのかなぁ。
所謂、プラセボ効果というやつかなぁ。
なら、プラセボ効果にはプラセボ効果かな。
という訳で、禊祓詞と六根清浄を唱えることにしました。
自分の気持ち悪さや身体の重たさに焦点を当てて、それらが抜けるよう、神様にお任せする気持ちでお唱えします。
自宅の神棚や、御山でよくお唱えしているので、その時の感覚が沸き起こります。
少しずつ、身体の重たさや気持ち悪さが改善していくのを感じました。
これなら、問題なく歩いていけるなぁと思いました。
ほっと胸を撫で下ろします。
すると、結構なスピードで自転車が前方から走ってくるのが見えました。
自転車は、私のすぐ近くを横切っていきます。
通り過ぎた瞬間でした。
ガシャーン!!!!!
突然、大きな音が響き渡ったので、慌てて振り返ってみると……
なんと、先程の自転車が転倒しているではないですか!
びっくりしつつも「大丈夫ですか!?」とお声がけします。
運転していた人は大したケガもなかったようで、すぐさま起き上がり自転車に跨ると、何事もなかったかのように走り去っていきました。
ケガがなくて良かった〜と、ほっとしたのですが、その時ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ思ったのです。
もしかして、ひょっとして……少しでもタイミングがズレていたら、私とぶつかっていたのでは??????
いや〜ぶつからなくて、良かった!!
そのままドキドキしながら、歩いていくと、前方からさらさらと水の心地よい音が聞こえてきました。
その音を耳にした途端、さっきまでの不快感が嘘のように消えたのです。
自然音、素晴らしすぎないか?
私がこの時に目にしたのは、石神井川でした。
すぐ近くには、つり堀公園もあったため、人の気配も感じ、なんとなくほっとしたのを覚えています。
以降の道のりは何事もなく、さっきまでの重たさも嘘のように歩くことができました。
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