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狭山三十三観音霊場とは、東京都と埼玉県(所沢市・東村山市・東大和市・武蔵村山市・瑞穂町・入間市の6市町)にある三十三箇寺からなる観音霊場のことです。
多摩湖と狭山湖の周りに「の」の字を 描くように点在しています。
また、秩父札所三十四ヶ所観音霊場、武蔵野三十三観音霊場と合わせて、「武蔵の国 百観音」と呼ばれています。
前回の巡礼では、狭山三十三観音霊場 第1番〜第14番まで歩きました。
今回は、東京都東大和市にある「第15番 清水観音堂」、「第16番 輪王山 真福寺 三光院」、「第17番 霊性庵」を歩いてまいりました。
まだ6月にも関わらず、東京都心などでは、すでに真夏のような暑い日が続いております。
このような気温が高い日の外出は、特に熱中症が心配されますね。
皆様も、お出かけの際はご注意くださいませ。
狭山観音霊場は主に丘陵や街中を巡ることになりますので、山の中とは違い、日陰らしい日陰はほとんどありません。
菅笠や帽子を被る、飲み物を確保する、体を冷やす道具を用意するなどの対策ももちろんですが、今回は一人での巡礼となります。
道中少しでも異変を感じたら、即中断をするなどの約束事も決めて出発いたしました。
お遍路文化が根付いている四国や、巡礼が盛んな地域では白装束はさほど珍しいものではありません。
ですが、巡礼者をあまり見かけないという地域では、白装束は大変目立ちます。
歩くことに集中する時は気になりませんが、ふとした瞬間に視線を感じることが度々あります。
慣れたつもりではいますが、やはり少し、そわそわっとしてしまいますね。
今回もそのような道のりになることを、心に留めておき、歩くことに集中しようと気持ちを落ち着けます。
そして、それは西武新宿線 東村山駅で降り、「第15番 清水観音堂」へ向かう途中のことでした。
保谷狭山自然公園自転車道という道を通った時です。
自転車道というだけあって、自転車に乗った人々が気持ち良さそうに通っておりました。
歩行者も通行可能な道でしたが、他の人々の妨げにならないように端を歩きます。
すると、自転車に乗った一人の男性が私の方を見ていることに気が付きました。
先程も書きましたが、白装束は目を引くので、こういったことは特に珍しいことではありません。
そのまま通り過ぎていくかと思いきや、男性はなぜか私に声をかけてまいりました。
お話を伺うと、男性は昔四国でお遍路を行なったことがあるそうで、白装束の私を見て懐かしくなったとのことでした。
私は、狭山観音霊場を歩いていることや、後どれくらいかかるかなどをお話させていただきました。
ひとしきり話を聞いてくださった後、男性は「暑いから気をつけるんだよ、これでもジュースを飲んで」と、なんと500円玉を私にくださったのです。
びっくりしている私に、にこにこしながら「お接待だよ」と言ってくださいました。
お接待とは、巡礼者に対して金品などを無償で施すことをいいます。
これによって、間接的に巡礼に参加することを意味し、お接待をした者も功徳を得ることができるとされています。
これまで何度かお接待を受けたことはありますが、それは、いずれも巡礼が盛んな地域でした。
そのため、まさか今回お接待を受けることになるなんて、夢にも思っていなかったのです。
思いがけず、人の温かな心に触れた私は、深く深く感謝をいたしました。
「頑張ってね」
労いの言葉と共に、男性は颯爽と去って行かれました。
持参した飲み物は、やはりこの炎天下によって、早い段階で湯のようになっておりました。
外気温が高いため、分かっていても辛いものです。
ですが、一通り歩いた後、私は頂いたその500円玉で冷たい飲み物を買うことができました。
男性の思いやりを改めて思い出し、感謝の気持ちに包まれて、疲れた体に深く染み渡っていきました。
その節は、大変お世話になりました。
ジュース、すっっっごくおいしかったです!
ありがとうございました!
お接待とは、巡礼者に対して金品などを無償で施すことをいいますが、物を与えることだけが、お接待ではありません。
巡礼者を応援する気持ちを表すことも、立派なお接待です。
道中、もしも一般の方から「ご苦労さま」「頑張ってください」などのお声がけを頂いたら、ありがたく受け取りましょう。
そして、そういった人々の気持ちを背負って巡礼をしている、ということを常に心に留めて励みましょう。
ここまでお読みくださり、誠にありがとうございます。
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